「クロコダイルの午睡」(『大きな熊が来る前に、おやすみ。』所収、新潮社)

この短篇はなかなか面白かったです。
主人公の女の子の独白部分で気になるところがありました。

ああ、と私は心の中で痛感した。私は、この子のことが嫌いだ。それも彼女だけが嫌いなんじゃなく、彼女に代表されるような、苦労もせずに与えられた平和の中で平気で文句を言える、そういう育ちの子たち、すべてが憎いのだ。

わたしは特に人前で文句を言うことはないのですが、わたしを嫌いつつも気になって寄ってくるような方々はこういうことを思っているのかもしれないなぁと思いました。
実生活でもネット上でも、わたしがなにげなく行った発言などが気にさわるらしい方々がいらっしゃいます。例えば、とある掲示板での話ですが、「日曜は家族でスーパーに買い物に行く」と書くと「家族の仲がいいのを自慢して!」。「パソコンを勉強している」というので少し会話をして「そのFOMのテキストをやっているなら大丈夫だね」と返したりすると「なんでそんなことが言えるんだ、できるからひとを馬鹿にして!」と返される。「今日は『ダ・ヴィンチ』を買ってきました」と書くと読書をしないことに対してコンプレックスがあるようだったり(相手の方がわたしよりも学歴が高いのですが……)。結局、対人関係をもつことに堪えられなくなった相手が掲示板を去りましたが、そういうことについてどの程度気をつけたらいいものなのかとこのところずっと考えていました。
そういうのはわたしがある程度気をつけられることもありますが、相手(読み手)の側の問題もあるので、なにかあったらその都度考えて行きたいと思いました。