楳図かずお『猫目小僧』1、2巻(小学館)

平山瑞穂先生が1巻に「恐怖と笑いの区別が消える境地」という解説を書かれていらっしゃいます。もしも「主人公などが不条理に苦しめられ続ける」とかそういうものだったら読めない……、と思っていたのですが、一応読めました。面白かったです。
こういうマンガを他の方々はどう読まれるのかわからないのですが、「みにくい悪魔」のような作品を読んでいて「醜く生まれついた人間」の立場にたってしまうと、「普通は猫目小僧のようには強く生きていけないだろうし、ひとに害を及ぼしたりする側になってしまった彼らにも何らかの救いがあるといいのになぁ」と思いました。ラストで何もしていない人間にも石をぶつけられたりしているのが怖かったです。
(ひとつだけ。帯での先生の紹介が「第16回日本ファンタジーノベル"ス"大賞受賞作家」となっていたのですが、こういうのは版を重ねるとかしたら直るのでしょうか。)