『顔面考』(紀伊國屋書店)などを読んで思ったこと。

面白かったです(*^_^*)
この本は収められている図版が怖いことなどから読もうかどうしようかと悩んでいたのですが、中村うさぎ先生の『美人になりたい〜うさぎ的整形日記〜』(小学館)で対談していらっしゃるのを知り、それならと一緒に借りてきました。
春日先生はいろいろな著者近影などのお写真を拝見している限りでは、ごく普通の穏やかなお顔だちだと思いますよ。といっても、醜形恐怖症はなかなか難しいものなのでしょうが。おそらく、「敵意や反感を露骨に示してくる連中(p.173)」は、彼ら自身に問題があるのだと思います。
この中では、p.123のカプグラの症例が興味深かったです。「見合いのたびに妄想が現れたり、祖母の入院でヒステリー様状態となったり、どうも過剰で未熟な女性性といったものが窺われるような気がしないでもない。脳の機能や思考に脆弱性を秘めつつも、ピアノ教師としてつましく暮らし、ただ男性との付き合いになると性的願望と恐れとのアンビバレントな思いが、内なる脆弱性と共鳴してこのような不可解な症状を呈するに至ったとも見える。二重身の出現は、自意識の強さをそのまま物語っているのではないだろうか。」というのはなんだか身につまされるところがあります。

そうそう、2冊を合わせて読んでみて、藤野美奈子先生/西研先生の『不美人論』(径書房)を思い出したところがあります。「醜い顔」といったときにわたしが思い出す方々がいらっしゃるのですが、彼らはたいていすごく尊大な自負とすごく醜い卑屈なコンプレックスが入り混じった顔つきをしています。そういう顔を見せられると、「うわっ」と思います。例えば、大学の時に「自分は不美人だ」と気にしてわたしをいじめてくるので「どうして?」と言ったら、「ダレカちゃんはかわいいからいいじゃない!」と言い返された方がいらっしゃるのですが、彼女はよくわからない方でした。いつも顎を突き出して「ふふん!」と人を馬鹿にする方だったのですが、彼女は歯並びの矯正をしたりして、受け口なのを気にしていたはずなのに、顎を突き出すのはどうしてなのか不思議でした。そういう表情でますます口元が目立つのに。それとも、それよりも人を貶めるほうが先、という気持ちだったのでしょうか。こういうことは言えないことだったので、未だに気になっています。

男性でも、よく「どうして自分のようないい奴に恋人が出来ないのか」とか、他の方について「自分は色々考えて生きているのに、何も考えていなさそうなあんな奴が軽々と生きていやがって!」とか思っているのであろう方がいらっしゃいますね。そういうのは顔つきにでているので、ますますモテなくなり、また悪循環に陥っている方を見ることがあります。そして、こういう方々は、女性と知り合ったり恋人が出来たりしても、うまく付き合えずにモラルハラスメントやDVに及ぶこともあったりします。

注:わからない方もいらっしゃると思うので補足しておきます。例えば、以下のようなことはモラルハラスメントやDVにあたります。

  • アルバイト先で知り合った気になる女性を毎回待ち伏せして挨拶したり、仲間うちで「今日はこんな服だ」とか話したりしつつ、実際に対面した相手には「ふん! お前なんか駄目だな」と話しかける。
  • 毎日メッセンジャーで話しかけるが、「自分は博士号を取るから、ダレカさんなんかは自分が使う立場だ」などといった内容が多い。

どうも、この手の方々はよほど仲間うちで駄目なほうなのか、「自分を理解して支持してくれるが、自分よりも下」の女性を求めるように思います。男性も、女性も。
それで離れたり、はっきり交流をお断りしたりすると、怒ったり、理解できないといった振る舞いだったりすることがあります。謝罪してくれることはまずありません。
また、この中には「彼女に浮気された、一見被害者」や、「あいつの彼女が自殺未遂した、あいつはいい奴なのに」とか言われている方々もいらっしゃいますが、実はモラルハラスメントやDVがひどいから彼女が浮気や自殺未遂をはかったであろうと推察されるケースがあります。こういう方々はそういう暴力的な・非人間的な性格が顔つき・雰囲気に出ていることが多いように思います。(こう書くと、醜形恐怖症や自我漏洩症状にお悩みの方がまた不安になるかもしれませんが。)
この手の、「加害者なのに被害者意識」の方々もカウンセリングなどに通ってくれるといいなぁと思います。