『問題は、躁なんです 正常と異常のあいだ』(光文社新書)

一ヶ所間違いがありますが、面白かったです。
間違いのところは、有吉佐和子先生の「笑っていいとも」の出演は事前にまるまる一時間と決まっていたというのが正しいようです。橋本治先生の『恋愛論』(講談社文庫)に書いてありました。
以下に興味深かったところを抜粋。

 原稿を書くに当たって、いろいろな関連書にわたしは目を通したわけであるが、ブライアン・P・クインの『「うつ」と「躁」の教科書』(大野裕・岩坂彰訳、紀伊國屋書店、2003年)を読んでいたら、躁うつ病患者への精神療法についてこんなことが書いてあった。
 「治療が進んだ段階で、双極?型や気分循環症の患者には、患者の軽躁や、気分や態度の高揚が、患者自身のうつ病や自尊心の低さや罪悪感や恥辱感を覆い隠して、自分を護るためのものであることに気づかせ、どうしてそうなっているのかを解釈してみせることも大切になるだろう」
 その通りであると思うと同時に、どんな精神症状を示した患者に対しても「本当のあなたは自尊心の低さや罪悪感や恥辱感に苦しんでおり、それを覆い隠して自分を護るべくあのような症状が出現するに至ったのですよ」と、低く重々しい声で囁きかければ、必ずや相手は納得してしまうだろうなと想像せずにはいられない。(p.180〜181)

少し前に、他に参加しているところである方に質問されたので答えたのに「え〜!?」という否定的な返事をされたり、いろいろと不快なことがありました。彼女はよほどの人間嫌いなのかしらと思っていましたが、「躁状態」だそうで、それでこの本を読んでみました。
なんとなく「躁」について理解が深まったような気がします。