森見登美彦先生インタビュー(2010年6月22日更新分)

MSN産経ニュースより。

ペンギン・ハイウェイ」を刊行した森見登美彦さん
2010.6.21 07:51
 
郊外の住宅地舞台に「新境地」

 人気作家、森見登美彦さん(31)が新作『ペンギン・ハイウェイ』(角川書店)を刊行した。主人公は小学4年生の男の子で、舞台は郊外の住宅地。これまでのヒット作のように大学生でも京都でもなく…というわけで「新しい森見ワールド」というのが宣伝文句。ご本人は「自分にとっては別に新しくはなくて、地続きです。ただ“学生もの”を想定して読むと、戸惑われるかもしれないので、いちおう『新境地』と注意を促しておきます」と笑うのだった。

 「郊外の住宅地を書きたかった」。4章立て約350ページの本作は最初、第1章の途中までの40ページほどの短編だったと明かす。「ダメだったらやめればいいと思っていましたが、気に入った雰囲気で書けた」そうで、過去の作品同様、書き進むうちに世界がくっきりしてきたという。

 ある日、街にペンギンの群れが現れる。ぼくは彼らがどこから来たのかを調べ始めるが、周囲では不思議なことが次々に起こる。大好きな歯科医院のお姉さんが、どうやら鍵を握っているらしい。「この謎を解いてごらん」。だが不思議な現象は次第に拡大し、ぼくらはおそろしいことに巻き込まれて…。
『四畳半神話体系』や『夜は短し歩けよ乙女』のようなヒット作の土台が、大学時代の下宿生活にあるように、本作でも子供のころに住んでいた奈良の住宅地がモデルになったという。「取材して書くのは苦手で、毎日見ているようなものを克明に書く。変な話を書くので、現実に接続する部分は大切なんです」

 文章は、いくぶん抑制されている。だけど語り手となる「ぼく」が、小学生のくせに知的でクールで大人びているから、気の利いたシャレやセリフ回しは健在。幻想世界に、読者をするりと運ぶ文章の切れも相変わらず。シンプルなだけに、森見作品の骨格をよく伝えてくる。

 「不自然さのない、満足のいく仕事になりました。小4では無理かもしれませんが(笑)、中学生ぐらいの子がどう読んでくれるか、楽しみですね」(篠原知存)

http://sankei.jp.msn.com/culture/books/100621/bks1006210755002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/culture/books/100621/bks1006210755002-n2.htm

http://d.hatena.ne.jp/Tomio/