桐野夏生「メタボラ」(朝日新聞の連載、21日で終了)

主人公が記憶を取り戻した回想シーンらしきところから連載を読み始めたので半端なのですが、一応感想をば。
ちょっと回復してきたので、リハビリ代わりに読み始めたのですが、良かったです。
主人公の一家がバラバラになって一人で工場への派遣(偽装請負)で働くようになる直前から読み始めたのですが、そのあたりの描写がリアルでした。いま、こちらの求人倍率は0.5倍を切っていて、求人誌でもハローワークインターネットサービスでも、いつも求人をしている=人がいつかないらしい企業の求人しかないのですが、その中で幅をとっているのがこうした派遣(偽装請負)の求人広告です。わたしもこうした会社のグループ企業のひとつ(工場ではなくて販売・事務系がメイン)に登録していて、求職活動中のさびしいお財布の足しにしているのですが、工場系の現場の様子はすさまじいなぁと思いました。連載中に、ちょうど一面でこうした派遣(偽装請負)の法律のがれなどの実情が暴かれ始めたので、あわせて読んでとても興味深かったです。単行本になったらきちんと通して読みたいものです。